【各セクションについて】
[名古屋青年会議所で活躍する「身近な達人」インタビュー]
<概要>
名古屋青年会議所会員より10名を選抜した上で、「身近な達人」としてインタビューを実施し、名古屋青年会議所全会員向けに配信をしました。インタビューではそれぞれの趣味の内容においてスイッチが入ったきっかけ、なぜそれを突き詰めようと思ったのか、活動から何が得られたのかなどの実体験を中心にお話いただきました。
<目的を達成した点>
アンケートでは質問③の「達人インタビューを見て好奇心、探求心のスイッチという意味を理解することができましたか。」という問いに対し、82.1%の方がとても「良く分かった」若しくは「なんとなく分かった」と選択をされました。また、会員の中で夢中になっている活動があるかとの問いに対しては84.2%の方が「何かしら趣味を持っている」との回答でした。質問⑥において「あなたが夢中になっている活動について、達人インタビューを見て、さらに深く探究しようと思いましたか。」との問いかけ対して76.5%の方が「そう思う」と答えていただいたことは、夢中になっている活動や趣味がある会員に対して、今回の動画配信によって、「探求心」をより高めたいというスイッチを入れることができたと考えられます。
<目的を達成しなかった点>
現時点で夢中になっていることが無いという会員に対して、質問⑦において、達人インタビューを見て新しいことにチャレンジしようと思えたかの問いを行ったのに対し、4名の会員が「思わなかった」との回答がありました。探求心を深めるという点においては成果があったものの、好奇心を高めるという点においてはスイッチを入れることができなかった会員が一部にいたという点において目的を達成できませんでした。
<検証>
動画により身近なJC会員の中にも趣味に没頭し、日々探求する姿を定期的に配信できたことは身近な人であるが故に現実味があり、より実践的に新たな価値観を趣味の世界などにも見出し、その中で努力する姿を自らの成長につなげられる可能性を感じていただけました。また、事業前に本内容を配信できたことにより、BODYの達人・SOULの達人において講師と共にする時間に対する期待感を醸成することができました。
[第1回 BODYの達人]
・第1部 趣旨説明並びに人生の達人プレゼンテーション (予定時間10分 実施時間10分)
<概要>司会による開会挨拶後に委員長が登壇し、委員長の挨拶並びに本事業の趣旨を説明した上で、何故、今、会員が率先して人生の達人への一歩を踏み出す必要があるのかを問いかけました。
事業の参加者に、事業の目的である豊かな人生を歩んでいただくために、「好奇心」と「探究心」のスイッチを入れることが重要であることを理解いただくことが可能となります。実際に講師に触れる前に人生の達人のイメージを理解していただき、講師の講演や実際の活動を共にする中で、いかにして講師が「好奇心」や「探求心」を醸成させ、自らの豊かな人生を育む力になっているかをより感じることができるようになることを目的とします。
<目的を達成した点>
第1部の目的のうち、事業に参加した会員に豊かな人生を歩むために「好奇心」と「探求心」にスイッチを入れる重要性を理解していただくという点においては、アンケートの質問⑥の結果において、95.3%の方がその重要性を理解できたと回答をいただき、目的を達成することができました。また、第2部講演、第3部登山における人生の達人への第一歩への期待感を高揚させることができました。
<目的を達成しなかった点>
「好奇心」や「探求心」については理解が得られたものの、主題である「人生の達人」の定義の理解を深める機会を十分に確保することができず、アンケート等でもその理解度を測る取り組みができていませんでした。「人生の達人」の定義である「心に響くなにかに動かされ、物事に夢中になり結果として何かを成し遂げている人」ということは、講師の講演を聞いていただければ分かるという部分に頼りすぎていたため、講師の紹介部分でプロフィールなどに重点を置いて活動実績にもスポットライトを浴びせて、講師が「人生の達人」であることを明確化する作業も必要でした。
<検証>
委員長の説明並びにプレゼンテーションでは「好奇心」や「探求心」を持って「人生の達人」を目指すことの意義やその内容を導入部分として理解を得ることができました。しかし第2部の講師講演に移行する際に十分に講師に関する情報の紹介をできず、講師にいきなりバトンタッチすることになってしまったため不十分なオープニングであったと思われます。
・第2部 講師講演 (予定時間30分 実施時間35分)
<概要>講師の三浦豪太氏よりどのようにして現在の活動に至ったのかを、祖父である三浦敬三氏(101歳まで現役スキーヤー)や、父である三浦雄一郎氏の紹介と共に、モーグルオリンピック出場や登山家を目指したエピソードをお話いただきました。また、順天堂大学の博士号をお持ちで慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス(SFC)の非常勤講師でもある研究者としての立場からも、分子生物学テーマとして人体と遺伝子の関連性をお話いただき、「冒険の遺伝子」が人類の発展に寄与してきた歴史と存在意義について解き明かしていただいた上で、人がなぜ挑戦をし、探求を続けるのかをご講演いただきました。講師である三浦豪太氏にとって、「仕事」であり「趣味」でもある探求を続けてきた山登りという活動が、ご自身の人生にどのような影響を与えてきたのか、「趣味」と「仕事」とを全く区別することなく山登りという活動に対して何故に夢中になって取り組むことができるのかをお話いただき、参加者が登山に対する「好奇心」を持ち、達人の「探究心」に共感を持っていただくことにより、参加者自身が「好奇心」と「探究心」のスイッチを入れるきっかけを得てもらうことを目的としました。
単なる活動報告にとどまらず、親子3代続く冒険家としての系譜でありながら、実際に遺伝子を医学的に調べてもらったところ「冒険の遺伝子」が無かったという逆説を用いることによって、参加者の興味を得ることができ、特別な遺伝子や家系でなくても誰しもが好奇心や探求心を持って、目標をやりきる意思・忍耐力を持つことができれば必ず何でもできるという期待感を醸成させることができました。アンケート結果のその他の意見欄においても講演中に興味を持った点として「遺伝子と探求心は関係ないという話」や遺伝子に関わる点が多数あり、また「できない理由でなくできる理由を探す」など挑戦をすることを前向きに捉えるアンケート結果があり、好奇心と探求心のスイッチを入れるという目的が達成されました。
好奇心と探求心のスイッチを入れることには成功しましたが、アンケートの質問項目の不足から、「趣味と仕事を区別しない」というテーマが講師からの講演によって会員に伝えることができたかという点において、浸透度を推し量ることができませんでした。また、講演内容の中で会員が興味を持った点について、アンケートのその他意見において、登山自体のノウハウだけでなく、美容に関する舌の体操を挙げる方もおられ、趣旨と違った内容に興味が向いてしまったため、講師とは、講演内容についてより緻密な打ち合わせを実施すべきでした。
<検証>
全体的には登山に向け「好奇心」と「探求心」を持つ重要性を講師の魅力と共にお伝えすることができました。講師の魅力についてはアンケートでも100%が魅力的と回答をしており、人生の達人講師として高い評価を得ることができました。
・第3部 登山実践編 (予定時間6時間35分 実施時間6時間30分)
三浦豪太氏先導の元、5班に分けて薬草の里センターより徒歩で伊吹山登山口まで移動、そこから山頂まで、ポイントごとで、それぞれの班が順番に交代して、講師と対話をしながら登山を体験し、無事に山頂まで登り切り、下山後に三浦豪太氏から全体総括をいただきました。
「仕事」と「趣味」とを区別することなく山と向き合い続けてきた三浦豪太氏から、身体を動かすことの喜びに満ちあふれ、山に向き合うために身体(BODY)をコントロールする術、山の魅力、達人の思考方法や心構えを、講師と共に山の歩みを進める中でお話いただくだけでなく、達人の息づかいや身体の使い方といったことから、参加者に達人のあり方を生で感じ取っていただき、参加者に新たなものに対する「好奇心」と、夢中になって物事を突き詰める「探究心」の姿勢を講師より学んでいただくことを目指しました。
[第2回 SOULの達人]
・第1部 講師講演 (予定時間45分 実施時間45分) SOULの達人 第1部講演録
<概要>講演では講師である武田双雲氏が、書道が日本の中でおかれている書道離れの現状をお話いただいた上で、世界に目を向けると逆にその可能性が広がっており、今後の活動としてアメリカに拠点を移していくチャレンジについてお話いただきました。また、講師がいかにして会社勤めの人生から書道家の道を進まれたのかという「達人」に向けた歩みについて、幼少のころに趣味程度であった活動が人生の活動へと変化していく様子を具体的にお話いただくと共に、自らの好奇心のスイッチが入るきっかけと探求心を持って活動されている現状を人生の達人の活動としてご講話いただきました。
<目的>偉人と呼ばれる経営者、政治家たちが残す書は、偉業を成し遂げたものでしか表現できない重みがあり、「書」はその人の心と生き方を写す鏡であると言うことができます。自らの心と向き合って、人生をより豊かに楽しもうとする考えの下に心をコントロールすることができる達人と時間を共有することで、達人の思考方法、達人の心と所作の連動性を生で感じ取っていただき、参加した会員がSOUL(心)の面における達人への道筋を自ら発見すると共に、「趣味」でしか無かったことを「仕事」のレベルに昇華できるほどまでに強い「好奇心」と「探究心」をどのように身につけるかを講師から学ぶことを目的とします。
<目的を達成した点>アンケート結果において質問⑤にあるように「書」に対する意識が「変わった」と答えた方が96.2%、「書」を通じて何事も楽しむことの大切さを学ぶことが「できた」と答えた方が94.2%と大多数の会員が今回の事業参加による意識改革がなされたことが分かりました。また印象に残った点として「先例のないことへのチャレンジ」や「手本の無い時代に生きていることへの意識が芽生えたこと」が確認されているので講師の講演に対して、「趣味と仕事」を区別しないほどまでに強い「好奇心」と「探求心」を持つことについて、多くの参加者が共感することができ、目的を達成することができました。
<目的を達成しなかった点>アンケート結果において質問⑩では「探求心を持ち、何事にも全力で取り組む姿勢を学ぶことができたか」という問いに対して、「いいえ」と答えた方がいなかったのに対し、質問⑨で「好奇心を持って新たなことに挑戦する重要性を学ぶことができたか」との問いに対して、「いいえ」と答えた方が3名いたことから、「好奇心」と「探求心」両方が重要であることが理解しきっていただけなかった参加者がいたという点で目的を達成することができませんでした。また講演と書道実践を明確に区別せずアンケートを集計してしまったため、目的の達成度合いを数字として捉えることを難しくしてしまいました。
<検証>講演と書道実践を明確に区別せずアンケートを集計したため、講演単独による効果を推し量る術を準備していなかったことは反省点でありますが、講演、書道実践を通じ目的である特に普段興味のあるわけでない「書」に対し人生の達人を通してその活動に対するきっかけや、深く探求している活動状況を聞くことで興味の度合いが上昇することが分かりました。質問⑨並びに⑩において、好奇心と探求心の重要性について講演を通じ学べたことが大多数の会員が「はい」と答えていることから参加者の変化が確認できており、また質問⑫において趣味と遊びを分け隔てなく追及することで人生が豊かになるプロセスを95%の会員が「はい」と回答をし、「いいえ」がいなかったことを考えると講師が実践してきた一見趣味のようなことも追及していくと仕事にもなっていく内容が深く理解されたと思われます。
・第2部 書道実践編 (予定時間50分 実施時間48分)
<概要>①書道リレーとして委員会ごとに構成されたチームにて題字である「勇」の字を一人ずつ交代で書いていき、そのチームにおけるバランスや書全体の力強さを武田双雲氏に総評をいただきました。また最も己の心を表現することができたと評価された成績優秀チームに対しては、武田双雲氏から記念品が授与されました。
②スローガンリレーでは書道リレーにて学んだチームワークや書のバランスを委員会ごとに代表者を選定し、本年度スローガンである「名古屋JC67未来は勇者のものである」をロール紙(100×500cm)にしたためて完成させました。また講師には精神統一をもって書に向き合う姿を会員にお見せするために実際に同じスローガンをロール紙に実演いただきました。
<目的>
講演編で学んだ書道に対する心構えを活かして、実際に会員が「書」というツールを通じて、自らの心と向き合いながら、心をポジティブにコントロールすることで体にも良い影響が出るようになることを目的とします。また、普段にない取り組みに対し「好奇心」を持って書道と向き合うことと、書に対してより深く向き合おうとする「探求心」を持って実践することで、参加者が「好奇心」と「探究心」のスイッチを入れるきっかけとします。
<目的を達成した点>
質問⑥にあるように「書」に対し単なる文字を書くという活動ではなく、リレーや講師の実演を体感しその目で確認できることで「書」を通じて何事も楽しむことの大切さを理解できたと答えた方が94%とポジティブな回答を得られました。探求の部分においても書道リレーから委員会をつなぐスローガンリレーを実施し、最後に講師の描く圧倒的なスローガン実演を見られたことで小さなきっかけから探求し続けている達人が描く書まで一連で確認することで質問⑨⑩での大多数のポジティブな回答にあるように好奇心と探求心にスイッチを入れるきっかけとなったことが分かりました。
<目的を達成しなかった点>
第1部講演同様に講演と書道実践を分けてアンケートを依頼しなかったことで第1部と第2部でのそれぞれの効果を推し量ることが難しくなってしまいました。また、講演では質問④にあるように講師に対し魅力を感じていただいた会員が「どちらともいえない」の1名を除き全員が「はい」と答えていることに対し、書の実践にて実施された後の他質問から確認すると「はい」が若干減少していることから「書」の実践において講師の魅力以上の内容が理解されていないことが分かります。特に質問⑨にあるように好奇心におけるスイッチが入りきらなかった点については、目的を達成できませんでした。
<検証>
好奇心と探求心のスイッチを入れる目的において少数の理解がされていないことがアンケートから分かったが、大多数の会員が本事業に対して理解をいただき、前向きにチャレンジをし、物事を探求して行こうとするきっかけとなりました。質問⑪においても感想においてはネガティブなコメントは確認ができず、本事業の狙いである「まずはやってみること」や「遊びや仕事を区別せず何事にも全力で取り組むことの大切さ」に気づいていだくことができました。
・第3部 総括 (予定時間5分 実施時間4分) SOULの達人 第3部講演録
<概要>
春名委員長よりBODYの達人、SOULの達人事業を終え、両講師より学んだ人生の達人に近づくための意義について説明を実施しました。「仕事も遊びも分け隔てなく取り組む」という内容がただ楽しく遊んでいるかのようなことではなく、現実はよりチャレンジングであり、ただその先の景色を見るためには困難を乗り越えていくことが人生の達人の第一歩であることを改めて総括いたしました。
<目的>
人生の達人になるために必要なスイッチは2段階あり、①何事にもチャレンジする「好奇心」のスイッチを入れること、②目的に対し突き詰め、「探求心」を持ち内容を深めていくスイッチを入れることの重要性をご理解いただけるように総括をします。その2つは両輪であり、好奇心無くしてスタートを切る事はできなく、スタートなくして探求心の深度は測れず、継続して突き詰めていく精神がなければ人生の達人に近づいていけないことを会員に理解いただくことを目的とします。
<目的を達成した点>
少なくともどちらかの事業に参加された会員においてアンケ―トから意識変革が認められ、好奇心と探求心をただ持つことが重要なのではなくSOULの達人アンケートで質問⑩にある全力で取り組む姿勢こそが探求心であると95.8%の会員に理解いただけたことで単なる楽しみで物事を行うのではなく、突き詰めて一生懸命になっていくことで人生の達人へと近づいていけると理解いただけました。
<目的を達成しなかった点>
SOULの達人アンケートにある⑦BODYの達人に参加したかについて48.1%の会員が不参加となっており総括としては両事業への参加が必要ですので理解度が薄まってしまいました。
<検証>
両事業の締めくくりとして、好奇心と探求心をもって様々なことにチャレンジをし、突き詰めていくことが自らの人生を豊かにすると同時に周りの人や社会を豊かにしていく気概を醸成することができました。